まず、テキストについて言い訳しておこう。
「ベクトル解析」と名前がつく本は、日本語だけに限定しても結構な数が出版されていて、 選ぶのに迷うくらいである。ただ、気をつけないといけないのは、 多くのベクトル解析の本が物理的応用を目的にして書かれており、 必ずしも数学の学生向きとはなっていない点である。
一方、数学の専門家が書いた数学的な本であれば良いかというと、今度は、数学的厳密さに拘るあまり、 初めて学ぶのに適さない形のものだったりする。その辺の兼ね合いで、本を物色していたところ、 見つけたのが陳先生のテキストである。英語で書かれていることが難点といえばいえるかも知れないが、 数学の本の場合、難しいのは内容であって、使われている言語(およびその表現方法)は、 ほとんど関係しない。また、Web に公開されているため、 好きなところを好きなだけ勉強できるという点も好都合である。
とはいうものの、本(の形のもの)を一冊手元に置いて参照することも悪くはないので、 参考書として、いくつか挙げておこう。一応、古い順である。
「曲面の数学」は、ベクトル解析というよりは、「幾何学入門」といった 感じの本で、ベクトル解析的なところは、ほんの一部分であるが、 微分形式による(あまり大袈裟にならない範囲の)解説といい、名著の誉れ高きも宜なるかな。 もう、授業なんかさぼってもいいので、こういった本物を熟読玩味する方が、 どれだけ有意義な時を過ごせることか。 (微積分と線型代数だけは、しっかり勉強してからのことであるが。)
次の「ベクトル解析」であるが、ユークリッド空間から始めている点、 ベクトル場を「共変性」の観点から取り上げてある点、 そして数学的な正確さへの配慮がなされている点など、 他にない特色を備えているのだが、 万人に勧めるには理念的過ぎるので、最初に読むべき本ではないかも知れない。 しかし、良書には違いないので、一度図書館で手に取って欲しい。
「ゼロから学ぶベクトル解析」は、物理の専門家による型破りの本で、 冗談が通じない人には向かないだろうが、その内容は、いたって真っ当でありかつ実用的でもある。
「ベクトル解析入門」であるが、非常に良く配列してあって、とくにベクトル解析のユーザーが 基本を身に付けるのに向いている(ただ、その分、面白さには欠ける?)。 数学的な道具の使い方と仕組みの部分が、とくに丁寧に解説してあり、 (電磁気学などへの)具体的な応用例がない分だけ潔く、 物理の苦手な数学科の学生が読んでも得るところ大であろう。 惜しむらくは、前半部分の丁寧さが徒となったか、積分定理の説明が簡単になりすぎた点、 また積分定理を三角形あるいは四面体の場合に還元するのは良いとしても、 この基本的な場合の成立理由が省かれている点であろうか。
「電磁場とベクトル解析」は、一見、物理の本のようであるが、そのスタイルは数学のそれである。 本の前半2/3がベクトル解析に充てられていて、そこでは電磁気の知識は必要なく、 一方で微積分での誤差の評価が取り上げられるなど、 物理の学生というよりは数学の(それも数学が得意な)学生向けという感じではある。 2次元の場合をまずやってから3次元へと進む点は、教育的配慮であろうか。
世に数多ある教科書を見比べていると気がつくことであるが、 ベクトル解析の積分定理の説明(証明)の仕方に大きく二つの立場がある。 一つは、微小な「周辺」積分の密度を表わす式を導いて、その集合体として積分公式を説明するもの。 もう一つは、そういう「動機」には触れずに、 積分定理の証明を、周辺図形のパラメータ表示の変数変換を経由して、 いわゆる微積分の基本定理に還元するものである。
前者においては、周辺積分は、 折れ線とか小立方体の表面とかで近似することになるのだが、 それが実際に正しいかどうかという点を気にしだすと、 その「証明」はかなり大変である。近似の有効性を認めてしまえば(認めることができるならば)、 教育的にも実際の運用面でも良い方法なのであるが、 信心が足りない数学者は、良心との葛藤を生じることになる(と思う)。
ということで、疑り深い人でもまあ納得できる「証明」となると、 テキストでも採用されている後者の方法ということになる。 本当は、この両方を取り入れて、まず前者の方法で公式のもっともらしさを説明し、 後者の方法で一応の筋を確保すべきであろうが、 まあそれぞれの方針で書かれた本を二種類読むめば済むことではある。 1時間の講義に対して2時間の予復習を行うという建前からすれば、 十分可能かな。
あと、余り指摘されないようであるが、ベクトル解析の華である積分定理は、 距離(長さ)の概念とは独立に成り立つという事実。 これは、関係する所量が座標変換に依存しない形になっているからであるが、このことを得心するためには、 やはり微分形式まで行かないとならぬのであろう。
少し長くなりすぎた。今日は、この辺で。
演習のことも少し書いておこう。 テキストの問題の部分を演習で使う他、 テキストで足りない部分は演習の時間に配布する予定(何回かそういうところがある)。 あと、微積分で使った本とかあるいは資料とかを持参すると良い。 英語が苦手な人は、英和辞典なんかも。 指示されるの待っていては、大学にいる意味が半減どころかほとんどない。 是非是非、自らドアをたたく、壁だってたたくくらいの気持ちを。
前回の復習として、直線の方程式について。 「y = ax + b」と書かないと気が済まない病にかからないように。 高校数学から空間直線の’方程式がなくなって久しいのは認識してましたが、 ベクトル表示(=パラメータ表示)も消し飛んでいたとは。 あと、平面の方程式についても復習しました。
一次近似式、これも復習モードですが、ここで勾配ベクトルを導入しました。 地図で、等高線の間隔から斜面の様子を読み取れる人は問題ないと思いますが、 最大傾斜量(ベクトル)を表します。 この一次近似式というのは、微積分の中でも最重要概念であると思うのですが、 強調のなされ方が全然足りません。多分、練習も足りません。 教える側の意識の問題もあるかも知れません。近似というぼんやりした関係よりは、 等式のはっきりした関係の方が好まれるのは理解できるにしても、この近似に対する感覚がなければ、 本質の部分が分かったと言えないでしょう。 今からでも、遅くはないので偏微分の計算も含めて復習をお忘れなく。演習の時間でも取り上げます。
もう一つ、勾配ベクトルの幾何学的意味を知る上で役に立つのが、
等位面という考え方で、勾配ベクトルのもう一つの解釈としては、
ふたつの近接した等位面(ではさまれた部分)の状態を記述していると
見ることもできます。
勾配ベクトルの資料です。
次回の演習でも使います。
授業の予定表です。
(5月8日の分を修正してあります。)
今日は、「ベクトル場と流線」について話しました。
ベクトル場を「見る」ための教材のURLです。google とかでさがせば、まだまだ沢山見つかります。
ベクトル場の循環をJava appletで体験できる。
2次元ベクトル場を表示するための Java applet。
ご存じ、Wikipedia のベクトル場の項目。
テキストの英語で苦労している人のために、
広島工業大学でのWeb教材を挙げておきます。
カバーしている範囲が陳先生の講義ノートに近く、かつ内容は軽めです。
「物理のかぎしっぽ」にもいろいろあります。
じっと、餌が運ばれてくるのを待っていてはだめだ。動け動け!
予定通り、試験である。わざとらしい復習をした後のことでもあるので、満点続出と思いきや、 1-(i) は、目を覆うばかり。直線の方程式と平面の方程式の区別がつかぬ者のなんと多いことか。 パラメータ1個=線、パラメータ2個=面、この単純な見方が何故にできぬ。 x + y + z = 0 と書いたら、パラメータは2個。 これは、「行列代数」の内容に問題ありというべきか、それ以前の「姿勢」に問題ありというべきか。
2-(i) で目についたのが、ベクトル場の図示。具体的な座標に対してベクトルを書き入れて見るだけの
ことが何故できぬ。自分で確かめることをせずに、何故に人の描いた図をそのまま書き写すのか。
これは、勉強以前の態度の問題である。どこかに答えが落ちていないかと探すだけの時間を過ごしては、
いないか。何をやっていいのか分からないといった情けない言い訳をしていないか。
心当たりの人は、火曜昼の時間にぜひ。
va2009-1
ベクトル場を解析する手段としては、いろいろなものが考えられますが、その中に 一連の積分量があります。今日は、その最初のものとして、線積分を導入し、 いくつか実例について見てみました。
線積分というときには、ベクトル場と変位ベクトルとの内積を考えるものの他に、 曲線上のスカラー値関数の積分を含める流儀もありますが、重要なのは、 物理でいうところの「仕事」の計算に出てくる積分です。
力をベクトル場とみたとき、勾配ベクトル場になっている場合が重要な意味をもってくるのですが、 数学的には、「積分・微分」の公式に他なりません。 勾配ベクトル場の特徴付けとして、線積分が始点と終点だけで決まり途中の経路の取り方によらない、 というのがあるのですが、時間の関係で省略しました。
線積分の計算練習、やっておいて下さい。とくに積分計算の復習を忘れずに。
微積分の本を手元において参照しながらどうぞ。
それにしても、
5/18の演習テスト
の出来の悪さよ。
「緑の定理」である。「緑の公式」という場合もある。 微分(してから)積分の公式の2次元版である。符号の部分には、複素解析も見え隠れし かわいらしくも深い定理である。よくよく熟読玩味すべきである。 とここまで、書いたところで演習を行ったのだが、そして今回はかなりできたかなと思いきや、 これがまた惨敗であった。途中の質問の出方からいやーな予感がしてたのだが。 主たる理由は重積分の部分の欠落(?)である。1年後期である。猛省すべきはいずこにありや。 もうひとつ、合成関数の(偏)微分が怪しいもの複数これあり。 やむを得ぬ、補習を考えよう。希望者は申し出て欲しい。 5/25の演習テストをよくよく復習せよ。 5月29日の試験に備えて。
本日、めでたく2回目の試験である。今回は、範囲が少なかったので勉強しやすかったはずであるが、
どうだろうか。線積分とグリーンの定理は計算主体のお稽古でまずは良いのであるが、
実は、もっと深いところのものをあぶり出してもいたりする。
視覚に関する幾何学的直感の由来する何かである。
数学の価値は計算のみにあらず、ということでもあるのだが、
1の (ii) は、正答者皆無であった。
せめて、一人か二人くらいは、という期待は儚くも潰えてしまった。
あれこれ、やってみる、言われなくても、ということなのだが。
va2009-2
今日から後半戦です。新しいのは、ベクトルの外積だけで他は「復習」のはずですが、
もしかしたら、初めてということになっているのかも知れません。ということで具体的な計算については、
ふれることができませんでしたが、簡単なのでぜひ練習しておいてください。
この外積というのは、3次元に固有の話題で、その意味でかなり特殊ではあるのですが、
3次元空間を扱う際に便利なものになっています。
数学的には、(空間の)回転行列の「素」という意味もあったりして、物理なんかでも頻繁に登場します。
特殊な分だけ面白いと言えるでしょうか。
もうひとつ、重積分の変数変換に関連して、ヤコビ行列の積公式についても説明しました。
実際の計算で使うというよりも、
のちほど説明する面積分が曲面を表示する際のパラメータのとり方によらない、ことの証明で必要になります。
重要な積分量が座標のとり方によらない、という内容でもあります。具体的な計算の際には、
都合のよい座標を暗黙のうちに導入して計算を行うので、意識しないと意義がわからないかも知れませんが、
実は極めて重要な事実です。その背後を支える微分計算の関係式が、いわゆる鎖則に由来する、
微分の表示行列の積公式となります。
どこかで、写像の微分の説明を入れたいところではありますが、テキストで指定した教材の
前半部分でも詳しい説明を見つけることができますので、ここは自主的な補いに期待しましょう。
vahandout3です。
もうひとつ、6/8の演習テストです。
まあまあの出来でしょうか。しかし、もっと面白いことをしたいねえ。
言われたことだけをやっていないか。あるいは、言われたことすらやっていないとか。
無為に時を過ごしていないか。これは、私自身の反省ではあるのだが。
梅雨に入ったねえ。入ったら、夏はすぐそこ、雲の上。今が鍛え時だ。 紫陽花の写真は、どこだったか。保和苑もいいが、偕楽園にもあるぞ。 苦しくとも、花を愛でるゆとりが欲しい、学習のゆとりはなくとも。
今日は、曲面の1回目である。勾配ベクトル場のもう一つの意味として、等位面の法線ベクトルというのがあった。 と書くべき、本来は「復習」であることを丁寧にやったのには、わけがある。 1年のときに、やっていなかった、と思われるから。 杞憂であれば良いのだが。 おかげで、新しい話題である、曲面のパラメータ表示による法線ベクトルの計算方法の説明が短くなってしまった。
この等位集合 (level set) と gradient の関係というのが、多変数の関数を扱う上できわめて基本的と思うのだが、
詳しく説明している本は、意外と少ない。セクト主義というのか何というべきか、微積分であれば、
代数とか幾何とか、他にも色々関係するはずのところを、まあ、時間の都合もあるにせよ、
ばっさり落とす、といったことは何とかならないものか。目指すべきは、統合的な数学であるべきなので。
ラグランジュの未定乗数法 (Lagrange's multiplier) の意味を幾何学的あるいは
力学的に説明できるだろうか。
前半部分は、微積分の本の問題とかで練習しておいて欲しい。
後半の部分は、テキスト10章の練習問題の最初を見ておくこと。
あと、6/15の演習テスト。
今日で、この授業も2/3が過ぎたことになる。早いものである。 気がつけば、死んでいるかもしれぬ。恐ろしいことである。 今日は、皆でさくらんぼを食べる日である。あ、子供は食べてはならぬ、大人だけ。 私にとっては、二重の桜桃、その味わいやいかに。
同僚との雑談から:
「何も分かっていないことでも、悪びれもせず平気でレポートに書くんだな、学生は」
「書きっぱなしというのは多いですね、試験でも。間違っているかどうかは、どうでも良いみたい。
誰かが、何とかしてくれるだろうと。」
「授業でやっていることが、何にもわからないのです、と言われてもねえ。
分かるところまで遡って勉強して欲しいのだけれども。」
「いまは、学生を放っておいてはいかんということになっているけど、
いっそのこと、放っておく親切というのも考えられませんかねえ。
動物の親は、それはドライなものでして。」
「答案の間違いを探せ、という問題はどんなもんでしょう。
人の振りをみて我が振りを直せ、ってことで。」
「そうだねえ、自分が他人にどう見えているかというのは、なかなか本人はわからないものだからねえ。」
「おって、次の授業が始まる。じゃ、また。」
3分の真実、6分の創作、あとの1分はどこいったのお話。
遊んでいてはいけない、来週は試験であった。ベクトルの外積と曲面の接平面・表面積。 偏微分の計算は確実に、積分の計算は堅実に。甘くみてはならぬ、諦めるのはまだ早い。
何ということだ。極座標変換の範囲が分からぬとは。 6/22の演習テスト。
今日は、最高気温30度くらいでしょうか、暑くなりました。夏はすぐそこまで来ているのでしょう。 もっとも、このままということはないでしょうが。
かるーく復習してから、3回目の試験 をしました。
ヒントを沢山差し上げたこともあり、概ね出来ていたように思います。
ただ、丁寧かつ一所懸命解答してくれたものの、
根本的な勘違いのためにやむを得なく減点された答案も散見されました。
面積の計算をしているのに値が負になったらおかしいだろう。
定積分を計算しているのに、答えに変数が残っていてはおかしいだろう。
7月である。時のながれは、坂落とし。
最後のやまである。
流束で変換すると流速しか出てこない。
流量だと、ほぼ決まりだ。
ということで、流量が良いのだろう。しかし、少し言いにくい。
日本語本来の造語法にしたがえば、動詞を重ねて「流れだし」。相撲の決まり手みたいではあるが。
英語だと、ラテン語由来の flux で、普通これを使っているようだ。
ベクトル解析のカリキュラム上の扱いは、「幾何学入門」であるのだが、 その入門的な幾何学に欠けているのが、運動の考え・時間の概念といっても良いだろう。 などと、書くと幾何の専門家から猛反発を受けそうだが、入門段階と雖も動きを無視して良いものかどうか。 力学に動と静があるように、幾何にも同様の区分けがありそうだ。そこまで、合わせなくても、 「運動=変換」というので十分であるが、これがまた不十分。座標の取り替えに対する active な見方、passive な見方というものがあることを知らずに卒業して良いものであろうか。
いらぬ慷慨、災いの元。とにかく、面積分=fluxの意味を知っていて欲しい。 面積分の計算そのものは、
いろいろと迷ったのであるが、発散定理を循環定理よりも前にすることにした。 テキストの書き方だと、循環定理の方が先で発散定理が後ということになっていて、 当初は、この順序で、と思っていたのだが、rotation の意味を説明しようとすると、 時間が不足するというのが、一つ。もう一つの理由は、微分方程式との関係で言えば、 発散定理の方の実用度が勝るため。
ということで、flux の意味も計算もおぼつかないかも知れないが、「湧き出し」 (閉曲面に関する面積分)の説明を簡単に済ませ、緑の定理と似た計算 (ということは、微分積分の公式)で、発散定理。 それと例題でお稽古。こんどは、三重積分だ。球座標、円柱座標は良いだろうか。
7/13の演習テスト。 「湧き出し密度」としてのベクトル場の発散の意味も知っておいた方がよいだろう。
最終回の試験まであと二週間。一つ所に命を懸ける人のために、ほれ、 道の糧 。
関東地方の梅雨も開けたということで、今日は最後の項目、ストークスの定理です。 以前にやったグリーンの定理の曲面版です。
こういった一連の積分定理は、一方でパラメータのとり方に、 一方でまたで座標の入れ方に依らないという事実があります。 こういう不変性というのか、intrinsic であるというのか、 幾何本来の性質に関わっていることが重要な点となります。 計算の段階でふうふう言っていては、 なかなか見えてこないところではあるでしょうが。
技術的には、ストークスの定理は、グリーンの定理を書き直したものにすぎないのですが、
ベクトル場の「回転」という面白い操作が新たに出現します。これの直感的かつ幾何学的理解のためには、
循環を密度としてとらえるのがあるべき姿です。
これはまた、ストークスの定理が成り立つ理由の説明にもなります。
一方、「回転」という用語の由来を理解しようと思ったら、ベクトル場の運動学的意味を知る必要があります。
そのためには、3次元の回転を表わす一次変換(行列)を避けることができないのですが、
2次元の場合(グリーンの定理)は、比較的やさしいので、その解説は、
上の資料の付録のところでも見てください。
年寄りの小言の繰り返しですが、言われて何かするようでは、意味がありません。 もっとも、言われても何をしていいかわからないのかも知れませんが、少なくとも ぼんやりと時を過ごすことだけは避けたいものです。
来週は、最後の思軒です。flux の計算のあたりを重点的に復讐しておいてください。
22日は、辛くも日蝕を見ることができた。 最大時には、かなり欠けた下弦の月ならぬ太陽であった。 そのせいかあらぬか、肌寒いくらいの天気で、そうそう、梅雨寒だ。 まだ明けてはいなかったのだなあ。 こういう、煮えきらない年は、往々にして冷夏の予感がするのだが、 どうだろうか。総選挙もあることだし。
さて、本日は、めでたくも最終 4回目の試験であった。 授業アンケートなるものもしたのであった。 最終結果については、速やかに掲示する予定である。
最後なので、少し感想を。
「ベクトル解析」は、内容があるいていど固定化されていることもあり、
めずらしくテキストに従って淡々とやる予定ではあったのだが、
いざ実施してみると、
いろいろと思うところも出てきて、さてどうしたものか。
授業では触れなかったのだが、
ラプラシアンの基本解という形でデルタ関数が導入できるというところを
本当は強調したかった。かつて、電磁気学の教科書で学んで感心したように。
もう一つ、
微積分と行列代数(線型代数)がどうなっているのか、
もう一度考えてみる必要があるだろう。基本中の基本であるのだが、そういった意識が十分かどうか、
教わる方も教える方も。
話はかわって、
英語を(たとえ苦手でも)毛嫌いしていてはいけない。
今の世の中、日本語だけで手に入る情報だけで生きていくことは、
可能であるにしても大事なものを逃してしまっていることになりかねない。
せいぜい、気を楽にもってつきあってみることである。
実は、この授業内容を完全に含む講義が
MIT で公開されているのである。
ネットではけっこう有名らしいのであるが、授業の準備をしていて初めて知った。
これを利用しない手はない。私の下手な講義を聴くよりは、
よっぽどためになる、英語の勉強にもなる。
完全な script もついて「free」というのであるから恐れ入る。
授業とは関係ないものの「季節感」ということで、
今、頭を悩ましているものが、「更新講習」の準備。
目的・意義を考えれば考えるほど目眩を覚える。
誰が何のために?