また春がやってきました。政治も経済も息苦しい状況が続いておりますが、 こういう先が見えない時代だからこそ、学問に勤しむのが正解かも知れません。 ということで、 群論入門の始まりです。
対称性という、数学の中でも美的感性にもっとも訴え得る部分を これから半年にわたり学んでいきます。 通常、「群論」の授業としては、代数学の1分野として 扱われることが多いようですが、直感的には幾何学との結びつきが重要です。 「線型代数」が、連立一次方程式の理論のはるかかなたまで広がっているのと 似ていなくもありません。 授業では、そういった直感の部分と代数の部分とのバランスを心がけて 進めるつもりです。 その結果、「代数あるいは集合の演算」の部分が、「薄く」なるかも知れません。 そういった部分は、演習の時間あるいは本で補っておいてください。
講義の資料は、このページに随時載せていきますが、
web で検索すると、いろいろ見つかります。
例えば、
http://www.mat.bham.ac.uk/M.R.Quick/3P08/
http://www.ma.utexas.edu/~dmcreyn/group_theory.pdf
http://www.maths.tcd.ie/~dwilkins/Courses/311/311Groups.pdf
などでは、下手な本よりもよっぽどましな内容が提供されています。
他にも探せばいろいろ見つかるでしょう。
(探すだけで、勉強しなければ価値はありませんが。)
「線型代数」と「集合」の本を手元に用意しておいてください。
今日は、直交変換についての復習を行いました。
復習といいながら、授業でふれていなかったりするかも知れません。
そういったものは、自分で補っておいてください。
どうしても、個人の手に余るようであれば、
月曜4講時に相談に来てください。
それ以外の時間帯の場合は、メールで連絡していただければ、
対応いたします。
次回は変換群の定義と例を予定しております。
線型代数の「基底と成分」のあたりをさらに復習して、
3次の直交行列と回転の行列とを関係付けました。
「基底と1次変換の成分行列」の考えの有効性を実感していただたら
嬉しいのですが、なかなかそうも行かないかしれません。
これが分かれば、線型代数はほぼ卒業、と思っていいので。
復習してみて、具体的な困難を感じたら、
どうぞ遠慮無く質問に訪れてみて下さい。
そういった復習をする人のために、講義ノートを少しずつ公開していきます。
(1時間の授業につき2時間家で復習するのだそうな。知ってました?)
(group1.pdf,
group1.ps)
予定より遅れてしまいましたが、
変換群の話に入りました。
変換群の概念そのものは、群のそれよりも、ある意味素朴なものである
といっていいでしょうか。
それでも、定義が続いて、面白くはなかったですねえ。
こういったところは。
最後にちょっと触れた正多面体(プラトン立体)は、
もう少し詳しく説明する予定でしたが、
皆さん(私も?)お疲れの様子、またの機会にまわしました。
2面体群の説明も。
1回目の試験を5月12日に行います。
詳しくは、次回の授業で。
(group2.pdf,
group2.ps)
今日は、先週のやり残しの、正6面体群の要素の記述と 2面体群を説明し、続いて群の一般的な定義と簡単な事実を解説しました。 多面体のグラフィックスについては、例えば、 多面体の世界 を見てください。
次回は、試験です。
(1)直交行列(2次・3次)とその幾何学的意味、
(2)正6面体群の個数計算、
をとくに復習しておいて下さい。
今日の試験問題です。
(groupt1.pdf,
groupt1.ps)
今日は、言葉の定義が沢山出てきました。
部分群、有限群、無限群、位数、巡回群。
例として挙げたものは、簡単なものばかりでしたが、
とくに巡回群の位数の計算と小学校以来の割り算の計算が関係している
ところを、良く復習しておいて下さい。
(group3.pdf,
group3.ps)
次回の試験は、6月2日の予定です。
群の集合への「作用」について説明しました。 軌道という言葉の意味を確認してください。 今日は、軌道分解の話までする予定でしたが、 できなかったので、来週に回します。
次回は、この今日の残りの解説を行って、2回目の試験をします。
試験範囲は、群の要素の位数計算、
群作用の軌道の計算、とします。
授業で説明した内容を復習しておいて下さい。
群作用と軌道の復習をしてから、 軌道分解定理をあっさりと説明しました。 これは、簡単かつとても重要な結果ですが、 その具体的な使い道については、次回にします。
2回目の試験もしました。
(範囲は、群、部分群、(作用の)軌道でした。)
(groupt2.pdf,
groupt2.ps)
基本的な概念がわかっているかどうかだけの問題でしたが、
いかがだったでしょうか。
「新しいこと」を身につけるには時間がかかるものです。
でも、それが、勉強なのでね。しようがない、というよりは、
チャンスと見るべきでしょう。
次回は、最初の「山場」、剰余類分解です。
(group4.pdf,
group4.ps)
予告していた剰余類分解まで到達できませんでした。
作用を調べる(利用する)上で基本的な用語の解説と例示だけで
残念ながら終わってしまいました。
推移的(transitive)、安定部分群(stabilizer)、
不動点(fixed point)、自由作用(free action)
正則作用 といった辺りが基本用語(概念)です。
剰余類(分解)は次回の先頭に廻すことになりましたが、
商群(剰余群)、準同型定理までが次回の目標です。
(無理かな?)
3回目の試験は、6/23 に行います。
梅雨のうっとうしい天気が続いていますが、 夏はあっという間にやってきますね。 ということは、残りの授業も、気がつけば終わっていることでしょう。
今日も、復習から説明して、剰余類の導入と Lagrange の定理、
までたどりつきました。
この辺りは様々な例とか交錯するところですが、
授業では、最小限の、対称群(置換群)の場合の例をほんの少しだけ
しました。群の要素から生成される部分群(巡回群)の個数の求め方、
も説明しました。来週の試験範囲その1です。
作用と軌道分解の考え方は、とても重要なので、 やはり対称群の作用の軌道を重複組み合わせの数で調べる例を挙げました。 stabilizer の形も計算してみてください。 こちらは試験範囲その2とします。
次回は、正規部分群と剰余群(商群)の説明を少ししてから、 3回目の試験です。
3回目の試験をしました。置換群の部分群と作用に関する問題でした。
正規部分群についての説明は次回に廻します。
(groupt3.pdf,
groupt3.ps)
梅雨の中休み、というのでしょうか蒸し暑くなりました。
今日は、剰余類の例として割り算の余りを取り上げて、
そのまま剰余群(商群ともいう)まで説明を済ませた上で、
改めて、正規部分群とともに剰余群を定義しました。
行列群と置換群の例は、いろいろと研究してみて下さい。
最低、授業で省いたところ(多くは、練習問題程度)も是非どうぞ。
まずは、やってみることが肝心です。
できれば、その日のうちに取りかかりましょう。
(仮に終わらなくても。)
次回はこの続きとして、準同型定理を示します。 それと若干の応用など。
試験(4回目):
7月14日(月)
範囲は、剰余群と準同型定理。
(group5.pdf,
group5.ps)
今日は7月7日である。が、七夕とは変な話で、 梅雨の最中なのだから、ここは陰暦でやらねば。
というような時期になってしまいました。
この授業の「お話」の部分は今日でおしまいです。
何とか「準同型定理」までたどり着きました。
全ては、使うための道具、なので、今後折りに触れて復習して
ご利用下さい。
残念ながら省略した話題は、
置換の共役類
アーベル群
直積群
です。どうか、「授業でやらなかった」、と言わずに、
必要になったら自習してください。
(どの本にも、同じようなことが書いてあります。)
講義ノートの残りも公開しておきますので、
併せて参考にしてみてください。
来週は4回目(最終)試験です。
試験範囲:
(1)部分群と正規部分群の違い。
(2)準同型定理から得られる同型の例。
です。
(group67.pdf,
group67.ps)