群論演習授業日誌


10月3日

今日は、演習の方針について説明し、 問題(の一部)を配布しました。 シラバスも参考にしてください。

他に注意事項として、 「集合の本」を常に携帯し参照すること、 オフィス・アワーは、火曜12:30ー13:30であることを挙げておきます。
どうか、分からないからと易きに流されず、できるだけ困難な道を選び取られますように。

参考書の URL です。
http://www.math.uwaterloo.ca/~mkamensk/teaching/336/lectures.pdf

10月10日

今日は、演習の初回ということで、いろいろと慣れないところもあったかも知れませんが、 まずは、必要な資料とかは手元に用意しておきましょう。
扱ったものは、いずれも基本的なものばかりですが、こういった具体的なところを大切にしないと、 先々困ったことになります。
先人たちは、山のような具体的な計算の中からこのような概念を絞り出して来た、という事実も あるので、「楽」を工夫することも悪くはないのですが、とくに苦手と感じている人たちは、 手を動かすようにしてみましょう。その前に、必要な資料には目を通しておくという、 当然過ぎることは言わずもがなではありますが。

10月17日

前回の演習は、易しい問題が多かったせいか、概ね出来ていました。 今日のところもまだそうかもしれませんが、段々というか急激にというか、 難しくなります。より正確には、新しい概念が次々と出てくるので、 脳がついていかない、といった状況かも知れません。
群の定義では、集合と写像の概念が必要となります。具体例を思い浮かべることは良いことですが、 本質を抽象した形での理解も重要です。うろ覚えの概念・用語は必ず集合の本に当たって復習してみてください。 逆に、そういった作業を通じて集合・写像についての経験値を上げる、というのが正しい学習態度ではあります。

さて、部分群、これも実感がわかないかも知れません。まずは、色々な例を見ていくことでしょうか。 後ほど出てくる「生成」という考え方を先取りした形ではありますが、問17をなんかどうでしょうか。

10月24日

今日は、問題2・8・13について発表してもらいました。 「応用問題」の提出は、随時なので、今回の発表を参考に改めて解いたものを出して構いません。 ただし、発表をまる写ししただけのものは、大幅減点となりますので、ご注意ください。あくまでも、 自分の言葉で納得した形のものを提出してください。

参考書として、
http://siva.cc.hirosaki-u.ac.jp/usr/mnishi/08GT/
http://www.math.nara-wu.ac.jp/personal/ueda/kougiroku/GROUP.JAL.pdf
を追加しておきます。 (作用以外の)基本事項についての丁寧な説明があります。

群論入門の 試験問題(1回目)です。

10月31日

レポートとなると、常のことながら、写経状態が目につきます。 心を無にして、ひたすら書き写す、というのは、とてももったいない。 今、この場が無難に過ぎ通せれば良いと思うのかもしれませんが、やはりもったいない。
今回のレポートで、目についた間違いに、 「同型写像=全単射」というのがありました。同型写像ならば全単射ですが、逆は正しくありません。 あやふやな概念・用語は、確認して問題に取り組むべきです。当然のことです。当たり前過ぎて指摘するも愚かなり、 と思ってましたが、うーむ。
問題28を解いた人は、何人かいましたが、残念ながら全員不十分です。 連続性の仮定がなぜ必要か考えてみてください。
否定的なコメントが続きましたが、何人かは、大変意欲的に取り組んでいて救われました。

11月7日

今日のレポート講評は「もったいない」

食料問題のことではない。
こういう演習の場で、自身を中身以上に良く見せる必要はまったくない。 理解も何もしていないことを、ただ書き写す。それも多くの誤りを含んだものを。 我が身の至らぬところを指摘して貰うせっかくの機会をもったいないことである。

演習の方針を今一度思い出して欲しい。演習の真の意義は、どれだけ自分を鍛えられるか。 修行の場と心得るべきである。当座がしのげれば、それで良いのであろうか。見せかけの成績に何の意味があろうか。 生まれ得た以上、皆死すべき存在ではある。拙くとも、その証を残したいものである。そうは思いませんか。

11月14日

今日は、茨苑祭の準備とやらで授業はないのであるが、日誌はつけておこうと思う。

「数学ガール」という本がある。もとは webpage であったらしいが、 話の初めの方にこじつけのような数列が出てくる。 こじつけなので、作る方は簡単であろうが、面白いものとなると案外少ないもの である。
今年は、西暦2008年である。この数字には明るい暖色系の風合いを感じるのだが、 人間世界は、温暖化とは程遠い寒さかな。 これから年末・年始にかけて「ホッケの煮付け」がはやるかも知れない。 いや、流行ってほしいものである。ホッケの擁護をしておくと、鮮度さえよけ れば、煮つけにしてもうまく、 昔、仙台で暮らしていたときに、一度食べたのだそうな、 ホッケの煮付けを(女房談)。 しかし、目黒のさんまならぬ、渋谷のホッケである。
何の話であったか。そうそう、2008という数字についてであった。 次に2008を含む数列を書いてみるので、2104の次の数字を推測されたし。 最初の正解者には、コーヒーを一杯ふるまって進ぜよう。
1912、1928、2008、2056、2104
次は、2056年、当然、私は死んでいないのであるが、皆さんの何人か は、二度目の出会いに僥倖を感じるか、 はたまた凶兆を見出すか。

群論入門の 試験問題(2回目)

11月21日

本日の出席率は50%ぐらいだったでしょうか。5月病ならぬ11月病 大学祭の後、連休の前。

群の作用という考え方、極めて重要ですが、そのことを強調してる本は、意外と少なかったりします。 群自体でいろいろと取り上げるべき内容が不断にあるせいもあるのでしょうが、 代数の専門家が群だけにこだわった結果という気もします。 一方でまた、応用方面に関わり出すと収拾がつかなくなるのも事実ですが、「対称性の記述言語」としての群を学ぶという点からは、片手落ちでしょう。
この授業では、この「群作用」を中心に、後半部分が扱われるので、演習に出ていた人も休んでしまった人も、 等しく復習しておいて下さい。

少し、間があきますが、次回の演習は、12月12日です。

12月12日

3週間ほど間があきましたが、演習の再開です。
今回は、群作用と軌道空間について、さらに練習してみました。 少し、練習問題が少なかったかも知れませんが、 少数精鋭、じっくりと考えていただけたでしょうか。
線型代数と写像の知識が必要となる部分では、それぞれの教科書の復習を行うべきです。 螺旋状の繰り返しこそ、有機的な理解には欠かせません。

Web の演習問題の番号が、配布のものとずれていたのを、修正しておきました。

前々回のクイズは、素因数分解してみると・・・。

12月19日

暮れの最後の授業(?)ということもあってか、出席者は大分少なかったですね。 剰余類が今回のテーマですが、親切(?)しだすと易きに流れるのは、分かってはいても残念です。

1月9日

今日は、2・3回目の発表をまとめてしました。発表は、特定の人に偏ってきた印象ですが、 もっと多くの人に参加して貰いたいものです。条件が厳しすぎたのでしょうか。
次回は、演習の時間はありませんが、「正規部分群・準同型定理」部分のレポートを16日18:00までに、B327郵便受けに出していただきます。
質問等を16日13:00ー14:30の間、同じくB327 で受け付けます。

1月16日

今日の演習は、「センター試験の準備がある」ということで、変則的な形で行いました。 提出者は10名ほどで、予想されていたとはいえ、少なかった。

「正規部分群」がなぜ重要か、という話は、簡単にはできないのですね。

まあ、未来に備えてのお稽古ということでしょうか。 世の中、強制させられなければできない・しない、ということはいろいろあって、 文字の読み書きもそうですね。強制でも何でも稽古させるべきときに手を抜いて、 本来であれば、自覚的に学ぶべき大学で手取り足取りお稽古をさせよ、というのは 何を考えているんだか、細部ばかり見て全体に思い至らぬそういった人たちが牛耳る社・組織は衰滅するのでしょう。

1月23日

今日の演習は、あみだ籤で少し盛り上がりましたかね。こういったことをして何の意味がある、などど思わず無心にあみだ籤。 籤は何と読む。阿呆読み?

読み方と言えば、signature の読み方、「しぐねいちゃー」ではないよ。「しぐにちゃー」に近いが、「に」は、「に」と「ね」の中間の曖昧母音(というのだったか)。 日本人にとっては「曖昧」でも、しっかり区別されているらしい。まさか、曖昧を読めないということはないよね。

1月30日

今日が最後のレポート提出日となりました。出席状況は、完全に安定したというか、6割程度でしょうか。 軌道数公式とその応用。問82を素朴に場合分けしてやってみるとよく分かりますが、まず、間違えますね。 かなり緻密に処理しないと。公式の威力を味わって下さい。答えは、92でしょうか。

遅きに失した感じではありますが、
http://www12.plala.or.jp/ksp/algebra/index.html
というのを見つけました。授業の内容相当分が、きれいな図入りで解説してあります。 今後のこともありますので、ぜひ、参考にしてみてください。

来週、最終回は講義の方の試験の解説と授業アンケートの予定です。

2月6日

計画では、発表の時間であったのだが、対象者が少なかったこと、定期試験期間中であったことを勘案して、 火曜日(3日、節分)実施の試験の講評と授業アンケートに替えました。 (「シラバス」とかいうのは、こういった臨機応変を許さぬもののようではありますが。) 久方ぶりの演習を担当しての反省も込めてコメントしておくと、
レポートにすると、書き写すもの、跡断たず。同値関係で類別すると4ー5種類。 採点するのに楽というなかれ、院生が嘆いておったぞ。大事なことを忘れていると。
問題の取り合わせに偏りがあったかも知れない。これは、漸次改善していくということで。
いつも熱心だった約20名、よく分からぬまま仕方なく書いたかなの約10名、書き写すことをてんで恥じぬ風の約10名、 行方知れずの約10名、といったところでしょうか。
へんてこな答案・うっかり間違えのレポートが大分集まったので、人の答案を添削する課題演習、といったものが考えられないか。 間違い探しの試験問題とか。

「群論」の 試験問題(4回目)です。



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