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定理 7.1
Hausdorff's theorem
球面

の可算部分集合

で,

が

-逆説的になるものが存在する.
証明
を自由群
と同型な
の部分群とし, 単位元でない
の元
による
回転の軸を
とする.
は自由群と同型なので,
は逆説的群.
定理6.2より,
が
に自由に作用するような
が見つかれば,
は
-逆説的と
なるので, これを示す.
単位元でない
の元
に対して, 回転によって
移動しない球面の点,
すなわち
となる点は,

.
ここで,自由に作用するとは,
を満たすことをいうが, この対偶をとると,
となる.
自身は, 回転によって移動しない点を
含んでいて,
対偶の条件
を満たしていないので,
は
に自由に作用して
いないことに注意.
軸と球面との共通部分全体
とおく.
この
が可算かどうかを調べる. まず自由群
は,
と表される. この
を具体的に表すと,
となる.
この
の元は, 一つ一つ番号を付けて数えられる
ので,
は可算となる.
よって,
と同型な
も可算.
ゆえに, 単位元でない
の元
により固定される点の
集合である
も
可算となる.ここで,
が
で不変である理由を
説明する.
もし,
が
で不変でないならば,
の元
と
の点
に対し
て,
, すな
わち
となる.
が
の元, すなわち, ある回転で移動しない点だから,
と
なる単位元でない
の元
が存在することになる.
両辺に
を左側からかけると,
だから,
∴
これは矛盾.
∴
以上より,
が
で不変であることが
示された.
は, 球面
から回転によって固定される点の集合
を取り除いた
集合なので, 対偶の条件を満たし,
は
に自由に作用する.
よって,
は
-逆説的となる.
最後に, 定義4.1と,
の元が
の元でもあることから,
は
-逆説的となる.
Yamagami Shigeru
平成15年2月14日