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逆説的集合の定義

定義 4.1   群$G$が集合$X$に作用しているとする. $X$の 部分集合$E$に対し,
$G$のある要素 $g,h$ が存在し, 互いに交わらない$E$ の部分集合 $A,B$ によって

\begin{displaymath}
E=A\sqcup B\ ,\ E\sim _GA\sim _GB
\end{displaymath}

となるとき, $E$G-逆説的であると言う.

この定義の内容を簡単に言うと, 「ある集合を$2$つの部分に わけ, その部分が全体を分割合同により再現するようにできる」 ということである.

    あとで示すように, $B^3$$M_3$-逆説的であるが、 このことは, $B^3$$B^3\sqcup B^3$とが分割合同であるという「バナッハ・タルスキー のパラドックス」を意味する. “逆説的”という言い方は, この事実 に由来する.

    定義4.1 に関連して,

定義 4.2   群$G$が集合$X$に作用しているとする. $X$の 部分集合$E$に対し,
$G$のある 要素 $g_{1\ },\ \cdots \ ,g_{m\ },h_{1\ },\ \cdots \ ,h_{n}$ が 存在し, 互いに交わらない$E$
部分集合 $A_{1\ },\ \cdots \ ,A_{m\ },B_{1\ },\ \cdots \ ,B_{n}$に よって

\begin{displaymath}
E=\bigcup_{i=1}^{m} g_{i}(A_ {i})=\bigcup_{i=1}^{n} h_{i}(B_{i})
\end{displaymath}

となるとき, $E$弱い意味でG-逆説的であるという.



Yamagami Shigeru 平成15年2月14日