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逆説的集合の性質

補題 4.1   群$G$$X$に作用しているとき, $X$の部分集合$E$, $E'$に ついて,
$E\sim _{G}E'$ かつ $E$$G$-逆説的で あれば, $E'$$G$-逆説的である.

証明
    $E\sim _{G}E'$ かつ $E\sim _{G}A\sim _GB\ ,\ E=A\sqcup B$ とする.
     $\varphi:E\longrightarrow E'$ を 補題6.1 $($i$)$の全単射 とすると, $A\sim _{G}\varphi (A),\ B\sim _{G}\varphi (B)$
    であり, $\varphi
(A)\sim _{G}A\sim _{G}E\sim _{G}E',\ \varphi (B)\sim _{G}B\sim
_{G}E\sim _{G}E'$ であるから,
     $E'\sim _G\varphi (A)\sim _{G}\varphi (B)\ ,\ E'=\varphi (A)
\sqcup \varphi (B)$ となって, $E'$$G$-逆説的で
    ある. $_□$

補題 4.2   $G$-空間$X$の部分集合$A,\ E$に ついて, $A = A_1 \sqcup \cdots \sqcup A_n
\ \ かつ$
$E = g_1 A_1 \cup \cdots \cup g_n A_n \ \
\bigl(\ g_i \in G\ \bigr)$ であるとき, $E \preceq _G A$ が 成り立つ.

証明
     $A_k' = g_k^{-1}\bigl(g_k A_k \setminus
(g_1 A_1 \cup \cdots \cup g_{k-1} A_{k-1\ })\bigr)
\quad (\ k=1,\cdots ,n\ \bigr)$ とおくと,
     $A_k' \subset A_{k\ },
A' = \displaystyle \bigsqcup _k A_k'\ ,A' \subset A $ である.
    また, $E = \displaystyle \bigsqcup _k g_k A_k' $ で あるから, $E \sim _G A' \subset A$ となる.
        よって, $E \preceq _G A$ である. $_□$

定理4.2$G$が集合$X$に作用しているとする. $X$の部分集合$E$が弱い意
味で$G$-逆説的であるとき, $A \sqcup B=E$ かつ $A \sim _G B \sim _G E$ であるような
互いに素な部分集合$A,B$が存在する. $\bigl($すなわち$E$$G$-逆説的である. $\bigr)$

証明
     $A_1 \sqcup \cdots \sqcup A_m \sqcup
B_1 \sqcup \cdots \sqcup B_n$ となる $E$ の部分集合列で、

\begin{displaymath}
E = \bigcup_i g_iA_i = \bigcup_j h_jB_j
\end{displaymath}

と書けるものが存在する。

そこで、 $A = \sqcup A_i$ とおくと、補題% latex2html id marker 2500
$\ref{直前}$より $E \preceq _G A$.

一方、$A \subset E$ より、$A \preceq_G E$ であるので、 ベルンシュタインの定理により $A \sim_G E$.

次に、 $B = E \setminus A$ とおくと、再び 補題% latex2html id marker 2512
$\ref{直前}$より

\begin{displaymath}
E \preceq_G B_1 \sqcup \dots \sqcup B_n \subset B.
\end{displaymath}

これと、$B \subset E$ から明らかである $B \preceq_G E$ とを併せると、 ベルンシュタインの定理により $E \sim_G B$ であるとわかる。 $_□$



\includegraphics[width=10cm clip]{btp4.ps}

4.2     群$G$$X$に作用しているとし, $E$$G$-逆説的で あるとき, 勝手な
自然数$n$に対して

$A_1 \sqcup \cdots \sqcup A_n = E$ か つ $A_1 \sim _G \cdots \sim _G A_n \sim _G E$
であるような $A_{1\ },\ \cdots \ ,\ A_n$ が存在する.

証明
heenumi ).
$n = 2$ のとき
$E = A_1 \sqcup A_2$ かつ $A_1 \sim _G A_2 \sim _G E$ であるような $A_{1\ }, A_2$が存在する
ことは, 定義より明らかである.
heenumi ).
$n = k$のとき, 系4.2が成り立つと仮定すると
$E = A_1 \sqcup \cdots \sqcup A_k$ かつ $A_1 \sim _G \cdots \sim _G A_k \sim _G E
\hspace{5mm} \cdots(*)$
$n = k+1$ のとき
$A_k \sim _G E$ 及び $E \sim _G B_1 \sim_G B_{2\ },\
E = B_1 \sqcup B_2$を使って
$A_k \sim _G A_k' \sim _G A_k''\ ,\ A_k = A_k' \sqcup A_k''$ となるものを作る.
そして, $C_1 = A_{1\ },\ \cdots \ ,\ C_{k-1} = A_{k-1\ },\ C_k
= A_k'\ ,\ C_{k+1} = A_k''$
とおくと, $(*)$
$C_1 \sim _G \cdots \sim _G C_{k-1} \sim _G ( C_k \sqcup C_{k+1})$ となり, また, $C_k \sim _G C_{k+1}$より
$C_1 \sim _G \cdots \sim _G C_{k-1} \sim _G C_k \sim _G C_{k+1}$ となる.
よって, $k+1$のときも成り立つ.

     i), ii)より, この系は成り立つ. $_□$


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Yamagami Shigeru 平成15年2月14日