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次の行列式を、 次の行列式を使って帰納的に、
と定義する。ただし、
とあるのはそこの部分の削除を意味する。
(1行に関する展開。)
行列式のサイズに関する帰納法で(2次の行列式の性質から
3次の行列式の性質を導いたのと同じ方法で)、
次の性質を確かめることができる。
- 線型性:
行列式
は各ベクトルについて1次式の性質を持つ。
- 交代性:
のうちの
2つのベクトルを入れ替えると行列式の値は符号が反対になる。
- 規格化条件:
たとえば、
と
() の入れ換えについての
交代性を示すのであれば、展開式(定義式)の和の部分を
といった分け方にして帰納法の仮定を使う。
あるいは、線型性を確かめたあとで、2つの列を等しいした場合に
値が 0 になることを示す。
問 9
のときに上の3つの性質を確かめよ。
問 10
行列式の性質(列に関する線型性と交代性)から、
連立一次方程式の解の公式 (Cramer's rule)を導け。
(クラメールの公式そのものは、歴史的価値を除いて、
それほど重要なものではない。)
行列
の転置行列 (transposed matrix)
を
で定める。
(転置行列は、しばしば、 という書き方もするが、
これだと行列 の 乗と紛らわしい。)
成分の縦横の位置関係に注意。
行列式の性質として基本的なものが次の定理である。
(証明については、節を改めて述べる。)
定理 3.1
- 線型性・交代性は行ベクトルについても成り立つ。
- 行に関する展開式、列に関する展開式が成り立つ。
- 転置行列の行列式は元の行列式に等しい。
- 行列の積についての性質、積の行列式は行列式の積に等しい。
(まるで、呪文ですな。数学(科学も?)を式抜きで理解することは困難。
「数式なしの何とか」というのはまやかしである。)
系 3.2
- 行列式のなかに同じ行または列があれば、行列式の値は 0。
- ある行(列)の定数倍を他の行(列)に加えても行列式の値は変化しない。
問 11
いろいろな4行4列の行列について、その行列式の計算を実行せよ。
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Yamagami Shigeru
平成14年12月23日