行列式を計算する際のポイントとしては、
系 3.2 の性質を使って、行列式の成分として現れる量をできるだけ簡単なもの
に書き直していく、とくに特定の行または列にできるだけ多くの 0 が含まれる
ようにして、その行または列に関する展開式を適用して、行列式のサイズが
小さいものに還元していくことである。
具体例として、
の計算を考えてみよう。
まず最初に、(帰納的)定義を直接当てはめるとどうなるかを見てみると、
といった具合に項の数が増え収拾がつかなくなる。
そこで、工夫した方法としては、
のように数値を簡単にして、
さらに、1行目の3倍を3行目に加えると、
となるので、
1行目に関する展開式を使うと、
のように項数を増やさずに、行列式の計算をサイズの小さいものに
還元できた。
同様の工夫を上で得られた3次の行列式にも施すと、
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(1列目から2列目を引いた) |
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(1列目から をくくり出した) |
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(1行目・3行目からから2行目を引いた) |
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(1列目について展開) |
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(最後は、たすき掛け) |
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と計算できる。
Yamagami Shigeru
平成14年12月30日