行列式を 個の
次列ベクトル
の関数
と思ったとき、(i) 列に関する線型性、(ii) 列に
関する交代性、(iii) 規格化条件
を満たす。
ここで、
目標: 個のベクトル
の関数
で、線型性と交代性を満たすものがあれば、それは
行列式の定数倍になる。さらに規格化条件もみたせば、行列式に一致する。
基本ベクトルを使うことにより、
は
置換 の
番目の数字を
で表す:
.
![]() |
![]() |
|
![]() |
文字の置換
の符号 (signature) を
この定義の仕方と行列式の性質から、置換の符号は、もし置換が2文字の入れ替え
を偶数回行って実現されるならば、
,
2文字の入れ替えを奇数回行って実現されるならば、
となる。
定理 3.1(行列式の性質)の証明
(i)行についての交代性を示そう。
行と
行 (
) を入れ替えることにして、
行列
に対して
それの
行と
行を入れ替えた行列
を
で表し
![]() |
![]() |
|
![]() |
次に特定の 行に注目して、
その
行を一つ前の行と次々入れ替えて最初の
行に持ってきて行列式の(帰納的)定義式を使えば、
行に関する展開式
は
行の成分を含まないから、
行目に関する線型性は上の展開式から明らか
(
行目の成分の1次式で書ける)。
次に転置行列についての性質を再び上の定理を使って
示そう:こんどは、
と置く。
証明したばかりの行に関する線型性・交代性により、
は定理の仮定を満たす。従って
この転置に対する不変性と行に関する展開式から列に関する展開式が得られる。
最後に行列の積に関する性質を示す。
すなわち ,
を
行列とし
が成り立つかどうかについて考える。
今、行列 は固定して、
行列
の列ベクトルを変数とする関数