A+ --- かなりわかった人(15人)
A --- 結構わかった人(17人)
B --- ある程度わかった人 (22人)
C --- 少しわかった人 (17人)
D --- きわどかった人 (12人)
E --- 結果を出せなかった人(6人)
この行列代数という名の線型代数の授業では、 行列(と数ベクトル)に関することに限定して、 行列式から連立一次方程式、固有値・固有ベクトル、 行列の対角化までを半年でカバーします。 通常、この種の内容は、1年間かけて「じっくり」とやるのが、 「日本での流儀」ですが、応用上すぐにでも必要になるという事情もあり、 また「ゆっくり」やったからと言って身につくとは限らない (何事も実践が肝心)ことでもあるので、内容を「精選」して、 半年に圧縮してみました。 演習の授業(「数理基礎演習I」)と併せてどうぞ。 線型代数の抽象的な部分とかは、 後期の「線形代数学」でカバーします。
今日は、初回(それも1年生の)ということもあって、 少し控えめにしました。 あと、何名かが教室から溢れてしまいました。 立って聞いてくださった方には申し訳なく思っております。 試験の実施は確率的に何とか可能の見込みなので、今日出席いただいた 人は、全員受け入れたいと思います。
少し参考書を挙げておきます。
これを読んでいる人は気づいているかと思いますが、
授業で使っている講義ノートは既に公開されています。
適当に落として利用してください。
他にもインターネット上に結構な量の情報が公開されています。
うまく使えば、下手な本を購入するよりも役に立つでしょう。
授業では、
一般の行列あるいは行列式を説明する都合上、
文字が多用されていて分かりにくいと感じる人もいると思います。
そのような時はは、たとえば、n=3 あるいはn=4とでもしてみて、
具体的な空間(次元)で、確かめてみてください。
こういった状況は、数学関係の授業ではこれからしばしば出合うことでしょう。
「わけがわからない」と嘆いてばかりいないで、
具体的に計算を試みてみることです。
あるいは、そういった具体的な難点に遭遇した上で本を探してみると、
自分に合ったものが見つかるかも知れません。
いずれにしても、「手取り足取り」は期待しないことです。
自ら試みても途方に暮れるときには、遠慮なく相談してみてください。
公式には、質問の時間は、木曜日8時ー9時ということになっていますが、
その他の質問Okの時間には、部屋の入り口に暖簾を出しておきますので、
それを目印にどうぞ。
書くのを忘れるところでしたが、試験を5月9日(木)にします。 試験範囲は、行列と行列式の計算です。
というようなどうでも良い話は置いといて、
4次以上の行列式の計算、やっておいて下さい。
具体的な練習と三角行列式の場合の説明を特に重点的に。
来週行う試験の範囲となっています。
試験は60分2本勝負。場所は、10番教室です。
さて、今日は、行列式についての「証明」をしました。
既に説明は済んでいた基本的な性質と公式の証明です。
この辺のところは、どのような教科書で勉強してもそれなりに
「脳細胞の緊張」が要求されるものです。
置換(順列)の符号から始まって、順列の可能性に渡っての和、に至るまで、
緊張の連続かも知れませんが、
こういう初めての経験に際しては、あまり深刻に考えずに、
しかしながら折に触れてしつこく繰り返してみるとよいものです。
私も、線型代数の本を3回は読み直した記憶があります。
今日の結果はとても重要ですが、幸い、 その証明過程が後で必要になることはほとんどないはずなので、 まずは実例で経験を積まれるのもよいでしょう。
次回は、今週の残りの「行列式の幾何学的意味」を説明してから、 連立一次方程式の話に移動します。しばらく行列式から離れることになります。
授業でも少し触れましたが、e-mail と web は(授業があるなしに関わらず) ぜひ経験を積んでおいてください。 質問の予約もメールでどうぞ。
解法の仕組み(ガウスの掃き出し法)はいたって簡単で、
(1)行基本変形を使って係数行列を階段行列に直し、
(2)階段の角の変数をそれ以外の変数で書き表す
だけのことです。
が、しっかり練習しておきましょう。
解空間(集合)の基底の作り方も説明しました。 基底については、次回、逆行列の特徴づけと併せてもう一度 解説します。
試験の予告:6月6日、10番教室。
授業の最後にした、「行列式の値が0でなければ、逆行列をもつ」の
証明に現れた計算公式は、「クラメールの公式」と呼ばれているものですが、
最初に学ばないといけないような重要なものではありません。
似たようなものに、「ケーリー・ハミルトンの公式」もあります。
(こちらは、行列の標準形の証明で使おうと思えば使えますが。)
今は、行列の入試問題は出せない(出しづらい)ようになりましたが、 少し前までは、受験参考書はおろか教科書にまで説明があったりして、 こういう「袋小路的なもの」は、今の時代、 切って捨てるだけの勇気を持たないと、破綻するのでは、 と危惧しているのですが、十年一日、習慣の「威力」でしょうか、 中々、改まらないようではあります。
この「基底」という概念は、とても重要なもので、 これが理解できるかどうかが「線型代数」の一つの山場となります。 逆に見ると、この考えは、 納得するまでに手間ひまが必要だということでもあります。 授業の後半部分でも繰り返し、出てくるので、 しつこく復習を繰り返してみて下さい。
いわゆる「教科書」を見るといろいろなことが書いてあります。
わかってしまえば、大部分は必須ではないことなのですが、
まあ、10の目標に到達しようと思ったら、13−14くらいは、
やっておかないとできませんね。
(最近の、御上の「ゆとり教育」は何を考えているのでしょうね。
うんと易しくして、そのかわり100%理解しろ、というのは、
「教育」をつまらなくするだけのような。)
とはいっても、忙しい時代に生きるわれわれとしては、 何が本質的か、という視点は必要で、その意味では、 多くの「本」は、たくさんのことに触れすぎているのかも知れません。
Webで遊んでいたら、次のようなページを見つけました。 「試験対策」という動機は不純ながら、 なかなか「本質」(の一部)に迫っているような。 皆さんも作りません?
http://user.ecc.u-tokyo.ac.jp/~g040001/tshun/
そろそろ、保和苑で紫陽花を!
「梅雨寒」の天気だったので、まあ、ふさわしい内容かもしれません。
証明の細かいところは、とりあえず、忘れてもいいので、 ぜひ、最後に書いた「問題」を考えてみてください。
後ほど必要なことは、基底でない ===> 行列式が0、の部分なので、 認めてしまえば気分的には「楽」なのですが、 一度は、納得しておきたいところです。 (一度でうまく理解できなくても、平気ではありますが。)
試験の成績の見方も説明しました。 「勝点6」で「1年次リーグ」突破です。
まずは、行列の対角化と固有値・固有ベクトルとの関係を説明して、
後者の動機付けとしました。
本当のところは、大事なのは「対角化」そのものではなく、
固有値・固有ベクトルの方ですが、
行列的計算による概念の習熟はやはり、
もっとも効率がよさそうですし、
具体的な計算技法としても重要ではあります。
とりあえず、3行3列で対角化の練習までしてみました。
来週は、その背後にある理論的な性質の説明をして、 さらに具体例で説明を試みます。
「難しい」と感じたら、迷わず手を動かしてみるべきです。
3行3列、あるいは2行2列でも充分、感覚を得ることができるでしょう。
是非、練習しておいて下さい。
7月4日予定の3回目の試験で確実に問題となります。
先週に続いて、行列の対角化、第二段です。
少しばかり、理論的な背景を説明しました。
対角化できるかどうかを固有方程式の根の重複度を使って判定するというものです。
あと固有ベクトルの一次独立性。
こういった、「理屈っぽい」(というほど、大した話ではないのですが)
ところは、なかなか理解し難いもので、そう感じたら、まずは手を動かして、
具体的な対角化の計算をしてみましょう。
今日の終了時点で、「授業概要」に予告していたことのほぼ全ての内容が
網羅されました。唯一残っているのは、2次・3次行列式の幾何学的意味ですが、
これについては、来週、試験の前に解説します(20分程度)。
(内積が関係した対角まで説明するのは少ししんどいけれど、
行列の対角化までだったら「余裕」だなあ、
世間の「線型代数」の授業は「詳しくやりすぎて」いるような、
丁寧にやれば身につくというものでもなかろうに、
というのは独り言、むにゃむにゃ。)
次回の試験範囲は、固有値・固有ベクトルと行列の対角化、です。
次回は、内積の基本的なところを解説したあとで、 総復習をします。その次の週(7/18)に最終試験があるので、 そのためでもあります。
気象庁の宣言があるなしに関わらず、 夏が来れば講義はやめ、という良き風習(どこの?)に従い、 今日で、暑苦しい説明は最後となります。 (しかし、小中学校が夏休みに入ったあともやりますかねえ、普通。)
さて、前回の試験結果を受けて、 (高校数学レベルの)内積の復習を簡単にしてから、 これまでの総復習をしてみました。
とくに基底の考え方を繰り返し説明しましたが、 こういった概念は、人の説明をいくら聞いてもわからないもので、 折にふれて「しつこく」、 「面倒がらずに」反芻しないとなかなか身につかないでしょう。 各自、自分が選んだ本の対応する部分を読み返してみて下さい。
来週の最終試験は、
連立1次方程式の解空間の基底の求め方(見つけ方)
行列の固有値と固有ベクトル
の2本立てとなります。
実際に問題を解いて、確認しておいてください。
難しいと面白いは紙一重、心の持ちようで、いやな数学も楽しくなる、かな?
保和苑の紫陽花です。本当は来週もしないといけないようですが、 自主勉強というか自由質問(他の授業もOk)ということにします。 予めメールで連絡して貰えると嬉しい。
「線型代数」は、久しぶりに担当したのですが、仙台の某大学と比べても、 決して悪い成績ではありませんでした。 皆さん、勉強なさったのでしょう。
Enjoy the summer break!