関数解析学は、アドバンストな教科と思われがちですが、 実は、距離空間の授業のすぐあとに続けると、具合が良かったりします。 多分、積分論を重要視しすぎる慣習が、そうさせているのでしょうが、 そして、そういった面も否定できかねますが(何と歯痒い言い方でしょうか)、 早い時期に、一度、経験しておくことを薦めます、と4年生に向かって言っても 手後れなのだが。
さて、夏休みである。授業では、最初の予定から少し欠けたものの
(何が?、Baire の定理のあたり)、講義概要(「シラバス」という言い方は嫌いです、
というかそもそも不正確な言い方)
で約束した所は、大体カバーできたようです。
意図したわけではなかったのですが、結果的に、
微積分の理論的な部分と線型代数の抽象的な
部分の復習的な内容になりました。
こういった伝統的な微積分と線型代数の再編成が、今後ますます必要になるでしょう。
私も、精々、頭を柔らかくして、サービスにこれ務めたいと思いますが、
ロジックを無視した、形式だけの数学は、なんとか避けたいものです。
と書いてから、早半年、世紀も移り、どうやら、目標の「スペクトル分解定理」
までたどり着くことができました。
ルベーグ積分を仮定しない(使わない)方針だったので、
「完全に直観的」、とはなりませんでしたが、その代り、「最短のコース」、に
仕上がりました。
知られている方法の組み合わせに過ぎないのですが、
このような形で「講義」としてまとめたものは、これまでなかったのではないかと
自負(自己満足?)しております。
辛抱強く最後まで授業を支えてくれた出席者の皆さんに感謝いたします。
講義ノートは、全て公開しましたので、気が付いた点があれば、ご連絡下さい。
今後の、改訂に役立てたいと思います。(2001.1.26)