解析学通論 II 授業日誌

10月6日

微積分の続編として、前期に引継ぎ、広義積分からです。 実は、これとほとんど同じようなことを、 去年したのですが、そのときは、1年かけてやったので、 かえって進まなかった記憶があります。(解析学 IIを見て下さい。) 今回は、半年ということなので、多分もっと進めるでしょう。
と、いいながら、今日は少しゆっくりめでした。 徐々にスピードアップを図りますので、遅れないでついてきて下さい。 もっとも、「質問のブレーキ」は大歓迎です。 メールでもどうぞ(返事は、多分教室で)。

10月13日

今日は、先週に続き広義積分をしました。
授業の最後に出てきたガンマ関数は、色々な意味で大事で、 しかも広義積分の例としても都合がよいので、どの教科書にも書いてあります。 が、関数の増大度のスピードといったとらえ方も負けず劣らず重要です。
今日の分の講義ノートを ps ファイルで用意しておきましたので、 参考にして下さい。(ps = ポストスクリプト)
次回は、偏微分をとばして(これは後でやります)、 重積分です。積分が続きますが、これは、出来るだけ早くガウス積分の計算を して見せたいためです。

10月20日

今日は、積分を使った体積の計算に始まって、 繰り返し積分、二重積分と一気に進みました。 普通、重積分は、2変数関数の連続性、偏微分とかの話をしてから 説明されるものですが、考えそのものは、素朴なものですし、 実際の計算も1変数の場合の積分計算を繰り返すだけなので、 細かい点を抜きにして、感じをつかんで欲しいものです。
来週は、もう少し計算の練習をしてから、ガウス積分の計算をしてしまいます。 この辺のことは、数学者が書いた本は、書き方が大袈裟すぎるように思えます。 あるいは、物理学者とかが書いた微積分の本(最近、いくつかでていますが) では、「計算できること」に片寄っていたりして、 計算の背景の理屈が足りないものが多いようです。
このあたりのバランス程度は、この講義のものが、良いのでは、 と自負していますが、さて、どんなものでしょう。
あと、忘れるところでしたが、試験のお知らせもありました。 11月10日(金曜日)。 試験範囲は、広義積分+重積分(来週の授業で説明するところまで)。 もう少し、詳しい説明は、次回の授業時間に。では。

10月27日

今日は、長方形でない定義域上の二重積分の計算方法 とガウス積分の計算をしました。 ガウス積分の計算で現れる、広義積分の極限のところをよく 注意しておきましょう。
次回11月10日は試験です。 問題は、広義積分の計算が一題と、重積分の計算が一題の計二題です。 基本的な積分計算と、極限の求め方を復習しておいて下さい。
金曜の午後が質問の時間になっていますが、 それ以外でもどうぞ。但し、こちらの都合もあるので、予めメールで 連絡すると具合がいいです。

11月10日

今日17日は茨苑祭(いばらのその?)の準備とやらで、 授業をしてはいけない日でした。
試験の採点が終わったので、結果を掲示に出しておきます (場所は、2階渡り廊下付近の掲示板)。

採点してみてのコメント:試験問題
(1-1) の極限を求める問題は、授業で説明した、冪関数と指数関数の増大度の比較に 書き直して貰えればOkなのですが、「ロピタルの定理」を使って計算している 人も結構いました。計算自体が正しければ、これもOkなのですが、 こういった、機械的な計算は、「基礎」を学ぶ際には使わないの方がよいでしょう。 覚えないと困るようなものでもなし、「定理」と呼ぶようなものでもない。
あと、
\[ \lim_{x \to 0} \log x = -\infty \]
がわかっていない人も何人かいました。 (何と恐ろしい!対数関数のグラフを書いてみるべし。)
部分積分は、授業でも説明しましたが、例の公式を覚えるのは、ばかげています。 むしろその「考え方」を理解しないといけないにもかかわらず、 「公式」風の解答がほとんどでした。 (まあ、しかし、高校以来の習慣でしようがないのかな。)
(2-3) の二重積分の計算では、繰り返し積分に書き直す方法(あるいはその意味) を理解していないものも目立ちました。

以上のコメントについては、次回の授業のときにでも、少し解説いたしましょう。

11月24日

さて、今日から偏微分である。 これは、実質的には1変数の微分の繰り返しであるが、 どの変数を動かしているか心の切り替えをして計算するところがポイントである。 それに失敗すると $x^2 + y$ の $x$ についての偏微分が、 $2x + y$ である、といったとんでもない間違いを犯すことになります。

偏微分を繰り返せば、沢山の微分の可能性が出てきますが、 たいていのまともな関数では、結果が微分の順序に無関係になるという ありがたい定理があります。
この辺を初めて経験する人には、病的な例は不要と思われるし、 そもそも病的な場合は、微分できると思ってはいけないくらいに 覚えておきましょう。

12月1日

さて、今日から12月、20世紀も残り1ヶ月になりました。 と、書いてみても日常には別段変化がないことが、逆に、過去の世紀末(死語?) と比べて恐ろしくもあります。 (若い世代に申し開きできるようなことをしているか?)。

さて、今日は、偏微分の計算で、重要な chain rule の説明でした。 (多変数の合成関数の微分の公式。)
この計算は、予告した12月15日の試験に確実に出ます。 手を動かして慣れておきましょう。

かぜがぶり返して、今日はしんどいので、これくらいに。 (講義ノートは、新しくしておきましたが。)

12月8日

今日、12月8日は何の日であろうか、最近は新聞でも触れなくなってしまったようで、 いよいよ世紀末も秒読み段階と気をもんでいてもしようがないのですが、 まあ、いりいろありますねえ、このところ何日かは、来年の授業のことで、 「かっか」きていたりして、おかげで、しつこかったかぜも治ってしまったようです。

さて、今日は、大抵の教科書の最後(の方)に書いてある、 重積分の変数変換の公式を「証明」しました。 この「証明も」1次の近似式の意味としてたいへん重要なのですが、 とりあえず、具体的な計算に使えればよいでしょう。 実際の計算練習は再来週行います。

今日のところは、取りあえず、1次近似式(chain rule) を復習しておいて下さい。 来週の試験問題に確実に1題でます。 あと、幾何学的な応用として、微分と法線ベクトルの関係、接平面の求め方 も試験範囲とします。 (これで、もう試験問題はばればれ?)

12月15日

さて、今日の試験は易しかったはずですが、如何でしたか。 仮にも、「分からなかった」人は、勉強不足を素直に反省しましょう。
また、「出来た」と思った人も、問題が易しかった分だけ、採点のチェックが 厳しくなると心得ておいて下さい。 計算ミスは見逃しません。
(逆にいうと、易しくない問題については、計算ミスは大目に見るということでも あります。ここだけの話ですが。)

来週は、試験の講評と、重積分の変数変換の計算例を予定しています。
その次は(来年になりますが)、2変数の極大・極小となります。 (これがこの授業のゴールとなりそうです。)

12月22日

今日、お知らせ(確認)したように、1月19日は授業ができなくなりました。 ということで、残るはあと、1月12日と1月26日ですが、1月26日は 3回目の試験を予定しているので、実際は、あと1回きりということです。 試験は、補講期間に4回目を考えていますが、詳しいことは、 1月12日にお知らせします。 (その12日も授業開始が遅れる恐れがあるのだが。)

今日の最後に説明した、2×2対称行列の対角化は、線型代数(数学通論とかの) で勉強済みのはずのものですが、何故かこの辺の連携が悪いことが 大学の数学では多く(反省しております)、いつもどの程度「復習」したらいいか 迷う所ですが、今回は時間もなかったので(!?)、 少し詳しく述べてみました。
そのかわり、講義概要で予告しておいた、等高線の話以下を残念ながら省略することに いたします。省略した部分については、講義ノートを参照して下さい。

1月26日

1月12日の授業が、事情とはいえ、キャンセルになってしまいました。 申し訳ないことです。
これと連動して、試験の方も、2月2日(と2月9日?)に延期となります。 試験範囲は、今日、説明が終わった、極大・極小の判定です。 範囲は狭いので勉強しやすいと思いますが、よく復習しておいて下さい。

省略した等高線の話とか、希望があれば、連絡して下さい。 補講を考えてみます。

2月2日

今日の試験ですが、 極大・極小の判定問題は、ほぼ全ての人が○でした。 これは、「受験数学的」で勉強しやすかったようですが、 より基本的な、2次の近似式の問題は、一転、できなかったのは、残念。
試験の採点結果は、火曜日に掲示する予定です。

来週も試験で(これが最終)、 極座標を使った重積分の計算問題とこれまでの総合問題を出します。 とくに、1次・2次の近似式についてよく復習しておいて下さい。

2月9日

今日は最後の試験となりました。
試験結果は、2月13日の午前中に掲示の予定です。 成績について疑問点があるばあいは、速やかに連絡して下さい。


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