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群の定義と例

後にでてくる群作用の概念に先立って, 群について説明しておく.

定義 1.2   集合$G$の直積集合$G\times G$から$G$への写像が 与えられているとき,
この写像を$G$における二項演算という. $G\times G$の 元$(a,b)$のこの写像による
像を$a$$b$の積といい, 記号$a\circ b$と表す. このとき, 集合 $G$$1$つの二項演
$($または単に演算$)$が与えられていると いい, $(G,\circ )$と表す.

定義 1.3   集合$G$$1$つの演算が与えられていて, 次の条件を満たすとき,
$G$はこの演算に関して群を成す $\bigl($または群である$\bigr)$という.

$(G$1$)$結合律 $;$ $G$の任意の元$a,\ b,\ c$に対して      $(a\circ b)\circ c=a\circ (b\circ c)$
                         が成り立つ.

$(G$2$)$単位元の存在 $;$ 特別な$G$の元$e$が 存在し, $G$の任意の元$a$に対して
                                         $a\circ e=e\circ a=a$    が成り立つ.

$(G$3$)$逆元の存在 $;$ $G$の任意の元$a$に対して, $a\circ b=b\circ a=e$ となる
                                 元$b$が存在する.

例 1.1   有理整数の全体は加法に関して群になる.

例 1.2   $0$でない有理数の全体は乗法に関して群になる.

定義 1.4   群$G$の部分集合$H$$G$の演算に関して群になっているとき,
$H$$G$部分群という.

例 1.3   実数は加法に関して群である. 整数は実数の部分群である.



Yamagami Shigeru 平成15年2月14日