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回転群と運動群

ユークリッド平面 $\hbox{\ym R}^2$ の原点を中心とする回転全体の作る群 $SO_2$ $\hbox{\ym R}^2$ に自然に作用する. この作用による軌道は、 原点を中心とする同心円となる。 とくに、半径 $1$ の円周 $S^1$$SO_2$ の作用を限定することができる。

同様に、ユークリッド空間内で、原点を中心とする球面 $S^2$ に回転群 $SO_3$ が自然に作用する。

定義 2.5   円周を$S^{1}$で表し, $SO_2$$2$次の回転群とすると, $S^{1}$$SO_2$-空間
である. ここで, 回転群$SO_2$とは,

\begin{displaymath}
g=\left(
\begin{array}{cc}
\cos \theta & -\sin \theta\\
\sin \theta & \cos \theta
\end{array} \right)
\end{displaymath}

の形の行列全体の作る群のことである.

定義 2.6   原点を中心とする球面を$S^{2}$で表し, $SO_3$$3$次の 回転群とすると,
$S^{2}$$SO_3$-空間である. ここ で, 回転群$SO_3$とは, $3$次の実正方行列$g$

\begin{displaymath}
\hbox{
$^{t}gg=I\ \ \ \bigl(\ ^{t}gは\ gの転置行列,\ Iは単位
行列\ \bigr)\ ,\ \ det\ g=1$ }
\end{displaymath}

を満たすものの全体からなる乗法群 $\bigl(\ 積は行列の積,\ 逆元は
逆行列,\ 単位元\\
\ は単位行列\ \bigr)$のことである.

定義 2.7   ユークリッド平面 $\hbox{\ym R}^2$上の運動群 $(motion\ group)\ M_2$ とは, $2$
元の回転と平行移動の組み合わせで得られる. 合同変換のうちで折り返し を
含まないもの全体の作る群のことである.
    同様にして, ユークリッド空間 $\hbox{\ym R}^3$ 内の 運動群 $(motion\ group)\ M_3$を定
義する.



Yamagami Shigeru 平成15年2月14日