つぎの行列を(行)基本操作により階段行列に変形してみよう。
この行列の1列目はどの成分も0ではないので、
どれを「支点」(pivot という)に選んでもよいが、
後の計算で割り算をしないても済むように、1行目と2行目を入れ替えた
に対して、1行1列目を支点にして、縦方向に「掃き出す」と、
と変形できる。
ここで落ち着いて2行目と3行目をながめてみれば、共通の因子でくくれるので、
2行目を5で、3行目を2でそれぞれ割れば、
となる。
そこで、2行2列目を支点に縦方向に掃き出すと、
を得る。
まとめると、連立1次方程式
の解空間 は、連立1次方程式
のそれと同一である。
この最後の連立方程式を処理するために、
階段の角にこない変数 , をパラメータとし、
階段角の変数 , について解けば、
となるので、 に属するベクトルは、
の形であることがわかる。
とくに、 の基底として
をとることができ、 は2次元である。
注意
変形の操作を、
などと書くのは差し支えないが、
のように等号で結んではいけない。
この2つの行列は等しくない!
Yamagami Shigeru
平成14年12月30日